あなたがくれるもの(志水×日野)

「あれ?今年の夏祭り…志水君の誕生日だ。」

手に持っているのは、夏祭りのお知らせ。

毎年恒例で、昔はよく家族で行った。今は、友達と。

でも、今年は・・・。

「誘っちゃおっ♪」

ケータイを手にとって、志水君にメール。

寝てたり、練習中だったりすると、なかなか返信がこないけど、今日はすぐにメールがきた。

もちろん、OKのメール。

「へへっ。楽しみだなぁ。」

志水君とは、会場で待ち合わせ。

ちゃんと会えるか、ちょっと不安だったけど、志水君は私よりも先に来ていた。

「志水君っ!」

志水君のほうへ駆け寄るけど、やっぱり下駄は走りづらい。

転ばないように、気をつけよう。

「香穂先輩…。」

志水君はそう言ったまま、きょとんと私を見てる。

今日は、ちょっと張り切って、浴衣着てみたり、髪をあげてみたり。

ついでに、ちょっとメイクもしてみたりして…。

やっぱ、変・・・?

「やっぱり、変…かな?」

おそるおそる、志水君に聞いてみる。

志水君はにっこり笑って、

「変なんかじゃないです。すごく、似合ってます。」

そう言ってくれた。

志水君にそういってもらえると、すごく嬉しい。

「今日は、浴衣なんですね。」

「うんっ。せっかくお祭だしね。」

「香穂先輩は、なんでも似合いますね。」

にこにこと志水君にそう言われて、紅くなってそうな顔を隠すように、目線を逸らす。

「じゃ、いこっか。」

「はい。」

2人並んで、お店の間を歩いていく。

ふと目にはいったのは、綿あめ。

「ね、ね。志水君、綿あめ食べない?」

「そうですね。香穂先輩、好きなんですか?」

「うんっ。」

「そうなんですか。」

なんでか志水君は、微笑んでいる。なんでだろう?

綿あめを1つ買って、二人で半分コ。

ふと志水君が、歩くのをやめる。

「志水君?どうしたの?」

「香穂先輩は、金魚すくいってやったことありますか?」

「あるよー。志水君、やったことないの?」

「ない、です。やってみませんか?」

「うん、いいよ。」

久しぶりの金魚すくい。志水君は、じーっと金魚を見てる。

周りでは、小さな子が我先にと、金魚をすくっている。

「志水君?どしたの?」

いつまでも、じーっと金魚を見てる志水君に声をかける。

「いまいち、タイミングがつかめなくて。。。」

「あぁ、なるほど。」

志水君らしいなぁ、とくすくす笑う。

「おかしいですか?」

「うぅん。違う違う。」

そういいながら、おわんに金魚を放り込む。

「よしっ、1匹目。」

隣では、志水君がお店の人にコツ?を聞いている。

志水君は、言われたとおりにやっている。

私も、負けじと金魚をすくう。

「あぁ、破れちゃったぁ。」

結果は、3匹。

志水君はといえば…

「うわっ、志水君、それ何匹目?」

「えっと、6匹目です。」

もくもくと、金魚をすくっている志水君。

「あ、やぶれた…。」

結局、10匹。初めてとは、思えない。。

ぷらぷらと、とった金魚の入った袋を揺らしながら、再び歩き出す。

歩きながら、射撃をしたり、くじびきをしたり、一緒にはしゃいで、一緒に笑った。

もうそろそろ、一周かな?さすがに、足疲れてきたなぁ。

「香穂先輩、少し休みますか?」

「え?」

「休みましょうか。」

「うん。」

2人で並んで、石段の上に座る。

「結構、歩いたねー。」

「そうですね。疲れてませんか?」

「ちょっと疲れたかなぁ。」

そんな他愛ない会話が、志水君とだとすごく楽しい。

心が暖かくなる。

「あ、そうだ。志水君、何かほしいものある?」

「ほしいもの・・・ですか?」

「うん。散々迷ったんだけど、やっぱり本人に聞こうかなって。」

「十分です・・・。」

「え?」

「香穂先輩には、いつも色々なもの、もらってます。」

志水君は、ニッコリそういうけれど、私はさっぱり意味がわからない。

私、なんかあげてるっけ???

「香穂先輩の音とか、あと、思い出とか。言い切れないですけど、たくさんのものもらってます。」

「なら、私も志水君にいろんなものもらってるよー。おあいこ。」

「そうですか?でも、やっぱり十分です。香穂先輩といられるだけで、十分です。」

「そ、そう?」

「はい。」

志水君は、そういってニッコリ笑ってる。

私もつられて、笑う。

志水君の傍は、暖かい。

「しーみずくん。」

志水君の頬に、そっとキスをする。

「お誕生日おめでとう。」

「ありがとうございます。香穂先輩。」

香穂先輩はいつも僕に、色々なものをくれるから。

僕も、先輩にあげられてたら、いいなぁ。

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