日常の幸せ(志水×日野)

陽も昇りきり、お昼も食べ、眠気誘われる午後の授業。

ボンヤリと黒板を見ながら、眠気と戦う。

私の席は、窓側の一番後ろ。一番、暖かい席。

どこかのクラスが音楽の授業でもしてるのかな?

微かにメロディが聞こえてくる。余計眠くなるなぁ…。

でも、どっかで聞いたことある。何の曲だろう?

あ、でもこの演奏…桂くんに似てる?

チェロ…だよね。それに、シシリエンヌ、かな?

そういえば桂くんて、他の教科ってどんな感じなんだろう?

真ん中くらいかな?結構、良かったりして。

あとで聞いてみようかな…。

桂くんに似た、チェロの音を聞きながら、私は眠りの世界へと旅立つ。

「あぁあ、最悪…。」

大量の本や資料を抱えて、特別教室棟へ向かう。

さっきの授業中、寝てしまったから。

「香穂先輩?」

「桂くんっ!」

振り返るとそこにいたのは、相変わらず眠そうにしている、桂くん。

「重そうですね。」

持ちますよ、って桂くんは、半分持ってくれた。

「ありがと~。こんな量、一人で運べって方が無理っ。」

「僕もそう思います。ところで、どうしたんですか?こんなにたくさん。」

賛同しつつ、最もな質問をする、桂くん。

ゆったりと話す桂くんの話し方は、心が暖かくなる。

「いや、さっきの授業寝ちゃってさぁ。」

苦笑する私に、あぁ、と納得して微笑む桂くん。

納得されてもね…。

あ、そういえば。

「ねぇねぇ、桂くん。さっきの授業、音楽とかじゃなかった?しかも、実技。」

「そうですけど、何でわかったんですか?僕、言いましたっけ?」

目をパチクリさせて問う桂くんに、さっきの授業時のことを話す。

「あぁ、そうだったんですか。シシリエンヌ、弾いてましたけど。」

「本当!?じゃ、やっぱ桂くんの音だったんだぁ。」

なんとなぁく、嬉しくて、そう声を上げる。

「香穂先輩に、僕の音が届いてたなら、嬉しいです。」

そう言って、桂くんはニッコリ笑う。

「私の音も、桂くんに届いてたらいいなぁ。」

ポツリと呟くと、桂くんは微笑んで、

「届いてますよ。香穂先輩の音。姿が見えなくても、香穂先輩の音だ、ってわかりますから。」

そう言ってくれた。

「そっか。うん。なんか、嬉しいな。」

桂くんといると、すごく落ち着く。

暖かい気持ちになれる。

やっぱり、好きなんだなぁ、て自覚する。

「桂くん。」

「はい?」

「大好きだよ。桂くんが。」

そう言って、桂くんに笑いかける。

「僕も、大好きですよ。香穂先輩。」

ニッコリ笑いあう。

そんな日常が、幸せ。

初公開:2005年1月29日
再録:

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です